山登りデビューの話
はじめて山に登ったのは、確か小学校低学年の頃。
父親に連れられて、寝袋を背に登山道を歩き、避難小屋へ。アルミ製のコッヘルでお湯を沸かし、インスタントラーメンを食べる。
そんな記憶が微かに残っています。
どこの山へ行ったのか?
頂上からの景色は?
楽しかった?辛かった?
…残念ながら、あまり覚えていません。
写真のひとつでも残っていれば思い出すのかもしれませんが、不思議なことに一枚も残っていません。
思春期を迎え、父親と疎遠になると同時に山とも離れ、中学・高校・大学時代はゲームに明け暮れるインドアな日々を過ごしました。
社会人になり数年が経った2012年。
そう、世は登山ブームです。
4月某日、友人に誘われて高尾山へ。
桜の咲く穏やかな陽気の中、最もメジャーな一号路で山頂へ。終始、人が多いことに驚いたものです。
運動不足をこじらせた身体には少々キツかったのですが、もう少し静かな山を感じるべく、川沿いを歩く六号路で下山しました。
高尾山口駅に着く頃には足がプルプル。情けない。
しかしその疲労感が、山頂から見た景色よりも、途中で食べたアイスクリームよりも、強く心に残ったのです。久々の筋肉痛が心地良い!
それから普段着&スニーカーで歩ける低山をいくつか経験し、いそいそと登山靴とレインウェア、ザックを購入。同年夏に上高地へ。
始めての北アルプス。それはもう、本当に素晴らしかったです。河童橋から見える穂高連峰の圧倒的な迫力。エメラルドブルーの梓川。清々しい空気。観光客に混じって小慣れた装いの登山客が行き来している光景も、心が弾んだものです。
小梨平キャンプ場からの穂高連峰
もちろん失敗や苦難もありました。
虫に刺されて足が腫れ上がったり、突然の豪雨に見舞われて財布(本革)がびしょ濡れになったり、下山路を間違えて延々と車道を歩いたり、、
それでも、帰りに立ち寄った平湯温泉に浸かりながら思うのは、
「次はどの山に登ろうか」
というものでした。
それから今に至るまで飽きることなく、山を登っているわけです。
最初は友人との山行が中心でしたが、マイペース、人見知り、貧乏性といった本来の性質により、いつからか一人で行くことが多くなりました。
地元静岡を起点に、低山日帰りからテント泊縦走まで、のんびり山歩きを楽しんでいます。